硬質クロムめっき
硬質クロムめっきとは
硬質クロムめっきは、多くの機械的特性をもつ代表的な工業用めっきです。
使用目的が装飾以外のもので、比較的厚い(JISでは5um以上と規定)めっきを工業用(硬質)めっきと呼び、とくに潤滑油等の保油性を要求される場合は、表面が多孔質なポーラスクロムめっきが活用されます。
特徴及び特性
多機能な皮膜特性を持ち合わせている
- 高硬度
皮膜の硬度は約Hv750以上(JIS規格)と通常の電気めっきの中では最も高硬度。
弊社ではHv1100の皮膜まで析出可能です。 - 耐摩耗性
硬質クロムめっきに要求される最も重要な基本的性質。
微細なクラックにより保油性を維持し、高硬度と合わせて他の表面処理と比較して極めて高い耐摩耗性を持ちます。 - 摺動性
製品を研磨することにより摩擦係数を少なくすることができ、接触する部品を傷めることなく優れた摺動性を維持します。 - 高密着肉盛性
他の表面処理より厚膜加工が可能で、多層で50μmほどの皮膜に対し、単層で500~1000μmの皮膜を直接素地に高密着で析出できます。 - 耐食性(耐薬品性)
塩化物以外の化学薬品に対して安定的であり、大気中でも30μm以上の厚さを持つ皮膜は良好な耐食性を示します。また硬質クロムめっきの多層化により、より優れた耐性を発揮します。 - 量産性
硬質クロムめっきの析出速度は極端に遅いものの治工具等を考慮することにより、安定した量産加工を可能にします。
製品の面粗さは自由
硬質クロムめっきは製品素材の面粗さを平滑(レベリング)する作用はないので、めっき前の素地磨きにより表面を平滑にすることが重要です。
白づけ・梨地(艶消し)1.0s~20.0sから鏡面光沢仕上げ0.1s~1.6sまでと幅広く用途に応じて面粗さを調整できます。
幅広い素材に対応できる
鋼鉄、鉄鋳物、SUS鋼、銅、銅鋳物、アルミニウム、アルミ鋳物、異種金属混在品等